LIFE,LOVE&PAIN

LIFE,LOVE&PAIN

タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。
-

母の怒号と解離性障害

futago2

なんとなく、H主治医のことを考えていて、「あの人ほど、あたまの回転のいい人、見たことないなー。まるで、しゃべった瞬間から、終わりの一句が読めているようなんだなー」と思った。
それは、ほかの患者さんも言っていて、「まさに自分が言ってほしいと思っている言葉を、投げかけてくれる」とのことだった。
IQ=170の人が、「人が自分に何を言ってほしいかわかるから、しんどい」と書いていたから、H先生もそんな感じなのかな。
ふーん。
H先生は、自分のその特性を生かして、精神科医になったのかもしれんな。

そんな思案をしていたら、「そういえば、アレ?」と思い浮かぶことがあった。
先日の診察のとき、わたしは母のテレビや買い物についての、イライラをぶつけたのだが、H先生は、診察の終わりに思い出したかのように、「ちっちゃいゆみちゃんは出てませんね?」と訊いた。(※ちっちゃいゆみちゃん=5歳くらいの交代人格。)
「出てません」と言ったが、わたしはなんで唐突に訊いたのかなと、不思議に思った。
H先生はあたまが良すぎるから、無駄なことは一切しない。
これには、なんの意味がある・・・。

だいたい、解離っていうのは、虐待とかPTSDによって、引き起こされる。
わたしは虐待を受けていないから、理学療法士の学校で実習中、倒れたのがPTSDになっているんじゃないかと思っていたけれど、ちょっと理由としては弱い感じもしていた。
そこで、過去に先生に話したデータを思い出してみると、「母親のことが好きじゃない」と言ったことが浮かんだ。
「双子の妹もそう言ってました。母親が優しいとかって知ったのは、大人になってからです」

H先生は、じーっと見ていたように思う。
もっと言うと、わたしは小学2年生のときに、母親を殺そうと決意したことがあるんだけれど、そのときは身体が小さかったので、「大人になったら必ず」と誓った。
でもこんなの、子どもはみんな一度は考えるんだと思っていたし、いまもそうなんじゃないのかなと、ちょっと思っている。
ちゃんと言うことを聞いているのに、「あっちの□□ちゃんだったらよかったのに!」と罵られたり、可愛くてたまらないというよりも、憎悪をもっていびるような感じがあったり。
いつ来るかわからない、ヒステリックな怒号と険しい恐ろしい顔・・・、どうやら向こうは優しくしてあげたと思っているみたいだが、子どもとしては、まるでその実感がない。

わたしはムッと考えた。
もしかしてH先生は、「解離の原因がどこかにある」→「お母さんが嫌い+ストレスがかかる」→「5歳に戻って甘えようとする」という図式を構築したのでは。
わたしは、ちっちゃいゆみちゃんと同じあたまの中にいたことがあるんだけれど、彼女はおにぎりを頬張って、「うんちょ、うんちょ」って頑張ったりして、すごく可愛いんだよね。
あの、いじらしくていたいけな子は、わたしが守ってあげたい。
あれ? すると、わたしが母親に甘えたいっていうのとは違うな・・・。
むしろわたしは、あの子を母親のまえに出したら傷つけられるから、可哀想、それは駄目だって思っているんだけど。

でもあたまが高速回転なH先生が、イライラとゆみちゃんを繋げているんだから、なにか関係があるのだろう。
それよりも、わたしはいろいろ考えて、ちょっと不安になった。
ガンの父が死んだら、その後は、母との二人生活になる。
いま、力関係はわたしが上になっているが、もともとは恐怖政治を強いられて、嫌な人だと思っているから、続くんだろうかとちょっと気になる。
ましてや要介護なんかになったら、昔の仕返しとばかり、ガミガミ怒鳴りちらして、「あっちの老人の方がよかった!」とか言うかも。
嫌だな・・・。暗い未来は想像したくない。
また、H先生にそういう相談をした方がいいかもなー。

-

旧家の執念

haka2

昨日、元彼Sちゃんと話していたら、先祖代々の墓の話になった。
ちなみにSちゃん一族は、室町時代から続く旧家で、Sちゃんはその当主である。
わたしはまえから、Sちゃんが、最近できた新興住宅の人々を、自分たちと明らかに別物として見ているなと思っていたが、それだけじゃなく、一族から結婚などで離れていった人々に対しても、もーこっちの人間じゃないんだから出ていけって、忌まわしく思っているのを発見した。
あれ? こんなことって、当たり前だったの??

「そこの家は、□□家と△△家だったんだけど、娘が結婚して、同じ敷地内に××家の墓ができちゃったんだよ」
「? お墓ってそこの家のことじゃないの? なんでSちゃんが関係あるわけ?」
「管理料とか要るでしょ。俺の前の代までは、ひいじいさんの嫁がこの人で、とかみんなわかってたけど、いまは俺しか知らないんだよ。だからこれから、家系図をつくらないと駄目なわけ」
「管理料ってそんなに莫大なん?」
「1,000円」
「1,000円??!!」

ということは、管理料が問題なんじゃないんだな。
要するにSちゃんは、一族の外に出たくせに、一族の敷地に墓を立てている××家が、気に入らないのだろう。
はぁ・・・、確たる墓もない根なし草のわたしとしては、商魂? たくましいですねえという感じである。
「じゃあ、これからどうすんの?」と尋ねてみたら、Sちゃんはムッとして、断固とした口調で言った。
「2年後に警告する。それで、5年後に出ていかなきゃ撤去する」

なんか、ここまで来ると笑えてきた。
旧家ってへん。
新興住宅の人々が若い人ばかりで、自分たち一族の墓のことを知らないのも、気に障っているようだ。
なんに関しても、冷静で寛容なSちゃんが、旧家としての誇りに、ものすごいこだわりを持っていることに、申し訳ないが、こころのなかでブルブル笑っていた。
Sちゃんが昔の親戚を、ズラズラ挙げていたときに、そのうちの一人に「なかぞうさん」がいるのを聞いて、ついに爆笑してしまった。
なかぞうさんって・・・、面白い名前・・・、ごめんなさい、なかぞうさん。

ついでに、話を振ってみた。
「跡継ぎはどうすんの? 娘さんばかりだよねえ」
「三女」
「三女の旦那って、全国飛び回ってんでしょ。ほんとに継ぐの?」
「それは、ちゃんと言って聞かせたから」
「大丈夫かなあ(←意地悪)」
「大丈夫。なんかあったら、俺が、娘と孫を守るって言ってある」
「えー!! 守るのは旦那やろ・・・」
「相続権は、娘にあるからね。その次は孫。血の繋がってない人間にはないよ」

うわー! なんか怖いこと言ってない? この人!!
ふつう、一家の構成は、親と子どもでしょ・・・。
ここは、祖父と娘と孫なのね。
お父さん、可哀想・・・。次世代をつくるためだけに一族に迎えられた人。
もしかして、全国を飛び回っているんじゃなくて、逃げ回っているんじゃないの。

ちなみに、後継が3女になったのは、3人でジャンケンで勝ったという理由らしい。
ジャンケンというのは珍しいと思うが、「勝った人」というのも、わたし的には「アレ?」という感じだった。
それこそ墓の管理とか、面倒くさいとか思わないのかな・・・。
旧家の人の考えることはわからない。

その後、Sちゃんは罪滅ぼしのためか、3女の旦那には、刀とか掛け軸(数万円相当)をあげようかなと言っていたが、「そんなもん、誰も要らんと思うよ」とだけ言っておいた。
まったく、ブルジョアはセコイなー。
一族の血統と財産と墓を守りぬくための執念は、はたから見て笑えるよ。

-

テレビが嫌い

Mobile-TV

今日は、診察&デイケアに行った。
診察では、最近イライラしていることを、H主治医にぶちまける。

「家事手伝いを続けていますが、そのことでストレスが溜まるんです! わたしはテレビが嫌いなんですけど、母といるとテレビがずっと点いていて、しんどいです!」
「テレビ? どこが気になるの?」
「作り手が、ここで笑わせてやろうとか、こうしてやろうとか、見え見えなんです!」
「べつに、わはは、でえーやんか。何それ? テレビが、どんなふうなん?」
「邪魔、です! うるさいんです。目は動くものを勝手に追いますよね? だから、見たくもないものを、見せられるんです」
「邪魔って言うてもなあ・・・」
「ほんとにテレビが嫌いなんです! 小学生のときから見てないです。だから、もともと嫌いなんです!」
嫌いだ嫌いだと叫んでも、どうしようもないのだが、精神科医には、全部を話しておいた方がいい。

すると、H先生が大声を出した。
「小学生から?」
「はい」
「本は読む?」
「本は読みます。紙は大丈夫です」

・・・これって、なんかの発達障害を疑われた?
わたしは、それはさすがにあり得ねーだろ! と、それこそH先生のあたまの中を疑った。
しかしたぶん、医師として、患者の経歴はともかく、聞いておかなければならない事項だったのだろうと、考え直した。

その後、デイケアに行ったのだが、偏差値の高い人(すごい言い方)に、「本を読めるかって訊かれたんですけど、失礼ですよねー」とぼやいた。
「読めない人なんか、いるんですかねー」ともう一つ言ったら、その人は黙り込んでしまったのだが、あ・・・、このなかにはいるかも・・・、つっか、いるよね・・・。
それにしても、本を読めない人と一緒にいるって、やっぱり堕ちた感じがするなあ。
そんなことを言ってはいけないと言う人は、自分がその身になってみろと言いたい。
H先生からみれば、本を読めない人もわたしも、同類なんだろうな。
まーこの件に関しては、前述偏差値の高い人も、同じ悩みを抱えているかもしれない。

くよくよと考えながら、人と話していたら、そのうち、あ? と思いついてしまった。
「もしかして、映像が見れないという、発達障害があるのでは・・・」
だとすれば、H先生がピクっと反応したのも、納得がいくかも・・・。

映像を受けつけない障害ねえ・・・。
わたしの場合、まったく見れないわけじゃないけれど。
過去に一人だけ、同じようにテレビが見れない人がいた。
たまに出る発達障害なのかもしれない。
日常生活に支障をきたさないだけの話だったりとか・・・。

帰り際に、デイケアのスタッフにも、テレビが苦手な件を話してみた。
すると彼は、「そんなん、うちの子も、ちっちゃい頃は見ませんでしたよー。本が読めない、想像ができないのはちょっと・・・ですけどね」と言った。

うーん。なんか、答えになっていないけれど、気にする方がバカって感じだな。
いろいろ考察したが、結局のところ、居間にあるテレビは母の自由だし、わたしは逃げ回るしかない事実に変わりはない。
悩ましい・・・。
でもいちばん悩ましいのは、「テレビが嫌い」という感覚を、誰にもわかってもらえないところかもしれない。

-

奨学金=借金の概念

saifu

最近、ナントカ知恵袋みたいなところで、相談者の質問に対して、自分なりの回答をつくるという遊びをしている。
いろんな悩みがあるなあ・・・。
でも、これは深刻だなと思えるケースもある。

今回は、奨学金という借金を抱えた人が、結婚できないという問題だった。
これは、まえにテレビでも聞いた話だなあ・・・。
すでに、一般化しているのだろう。
しかしなんだって、600万円とか800万円とか、ものすごい金額を、学生に貸すんだ?
借金って、そんなに簡単にできるものじゃないはずだが。
仕組みはどうなっているんだかわからないが、まー誰かが儲けているんだろうな。

もう借りた時点でわかってしまうが、その人は、当分結婚できないか相手を選ばされるか、になるんだろうな。
常識を持ったまともな家だったら、余程の固い仕事でもない限り、借金を抱えている人との結婚を、許したりしないだろう。
結婚するということは、二人で経済的に自立するということだもんね。
「奨学金の返済中なんですが、婚約者に言うべきでしょうか?」とか言っている人、わたしはバッサリと「当たり前です」と切り捨てる。
常識的に、自分に借金があるということを、隠して結婚するやつは、無責任で不誠実でしょ。
たぶんこの人、奨学金が借金であるという概念がなくて、なんとなく婚約者に言った方がいいのかなって感じなんだろうな。
甘い・・・。相手の親が知ったら、金額によっては、延期か破談になるかもって話じゃん。

あとは、「旦那といるのが地方なので、仕事がない、奨学金は親に払ってもらっている」という人がいた。
うーん・・・。親が払っているのか。
なんだか、だらしない親子だな・・・。(←第一印象)
つっか、いまはみんな、こんな感じなのか?
所帯を持った、独立した娘の学費を、親がだらだら支払ってやっている??
いくら地方っていったって、なんの仕事もないっていうことがあるのかな。
お金で買った学歴なのに、使えていない・・・。
そして、借金だけを払い続けている・・・?

わたしはいろいろ読んでみて、「いまは、簡単に大学に入れるのと、親が貧困化していることが、奨学金に対するハードルを下げたのでは」と推測した。
なんかやっぱりどーも、貧困層を踊らせている輩がいるような感じがするなあ・・・。
どっちにしろこのまま、「これじゃあ、いつまで経っても、結婚できない」という若者が増えるのは、よくないと思う。

じつはちょっとつぶやくと、わたしも大学は奨学金を受けていた。
わたしの場合、両親から「卒業したら、すぐ働いて家に入れてもらわないと困る」と言われていたので、奨学金を自力で返すのは、当然だった。
当時、世の中は高金利だったので、無利子の借金はわざと一括払いせず、高い金利の貯蓄商品を買っていくという戦略を取っていた。
その結果、31歳まで借金を抱えていた。
やっぱり、借金は邪魔なものだったから、最後を払い終えたときは、スッキリした。
と同時に、自分は自分の学費を、自分でちゃんと払ったんだという自負ができた。
いまでもよくやった自分って思うよ。
あれをもし、旦那や親に支払わせることになったら、申し訳ない気持ちになったと思うな。
「ナニワ金融道」を読み過ぎたせいかもしれないけれど、ほんとうに「借りた金は自分で返せ」が基本だと思うよ。

-

母の謎行動

shougayu
今日は、デイケアに行ってきた。
デイケアには、言っている意味のよくわからない人がいるのだが、今日わたしに話しかけてきたのも、その一人だった。
悪い人じゃないんどね・・・。
親が自己破産して、本人は金銭管理ができなくて、いま生活保護を受けているが、話しぶりから、就労は無理という感じだった。
みんなとうまくやっていくというのは、精神科の場合、こういう人とも仲良くやっていけるということなのよ。
とりあえず、疲れて帰ってくる。

帰ると母が、居間でべったり座って、「おかえり」と言った。
わたしは、「(いつものように)歩きに行く?」と尋ねた。
しかし彼女は、「いや、しんどいから無理やろ」を繰り返し、わたしの身体なのに、わたしに無理だと決めつけて、散歩を断念させた。
そして、いつものように、「生姜湯を飲まない?」と言った。

わたしが上着を脱いでくると、彼女はなぜだか、一人分の生姜湯をつくっていた。
「なんで一人分?」と尋ねると、「わたしはお茶を、もう飲んだから」と言う。
なんだか、不思議な気がしてきた。
なにか、話でもあるのかな・・・。

わたしはどうも、こういう意味不明な雰囲気は苦手なので、さっさと生姜湯を飲んで、自室へ上がろうと思った。
すると母は、「なんかドラマやってるかな。今日、やってないかな」と新聞を広げようとした。
「いや、わたしは観ない」←もともと観ないし、疲れている。
「そう? じゃあ、わたしも観ない」

えーなに、それ??
しかも母は、点いていたテレビを消した。
わたしはそのまま自室に入って、「気持ち悪い!」と考え込んでしまった。
だって一連の行動を見ていると、明らかにわたしを待っていて、お茶を飲んで母子でベタベタしようって感じじゃない。
さ寒気がする・・・。

わたしは、なにかの答えを出そうとするとき、ブツブツ口に出すことがある。
「してほしいことが、こっちから見える・・・。幼児化?」
「父親とケンカして、一緒にいてほしかった?」
「一日中、隣の掃除をしてたから、誰ともしゃべれなかった?」

帰宅してからのあの居間の風景、確かにあそこには空間があって、ここに座れと書いてあった。
あんなわかりやすい罠を仕掛けるなんて、やっぱり知能が落ちているのでは・・。
あんな感じで、子どもに返っていったら、どうしよう。
眉毛がハの字になる・・・。

しかし、混乱したときは、もう一度あたまをミキサーにかけてみたら、ポンと正解が出たりする。
どうやらわたしは、知らない間にその作業をしたらしく、ポンと思いついた。
「デイケアに行った感想が聞きたかったんだ」

あ、なるほどね。それなら気持ち悪くない。
単純に、娘の社会復帰を願って、今日はどんなだったかな、というのが聞きたかったのだ。
今日は、わたしが疲れていたから、たまたまその話ができなかった。
そっかー。そうだよね。まだあの人、ボケていないし。

という訳で、一瞬気持ち悪かったけれど、答えが見つかってよかった。
しかし母親も、直に「デイケア、どうやった?」って聞けばいいのに。
あの用意周到さ、よっぽど話をしてほしかったんだろうな。
まー今日は、手のかかる人の相手で疲れたよ、って話だけれど。

-

母の話し癖

autumn

昨年10月に家事手伝いを始めてから、母との会話に疲れを覚えているのである。
それまでは、自室にいたので、あまり話すことはなかった。
そしていま、この人との会話は、こんなにもストレスのかかるものだったかと考えている。

いろいろとあるのだが、大きく気になるのは2点。
母は、わたしが何をしていようが、「見て!」という癖がある。
なにがあるんだと思ったら、テレビに映し出されるなんの変哲もない映像であったり、捨てられた汚いゴミだったり、他人の建てかけの家だったり。
自分が興味を持ったものは、必ず人も興味を持つはずだと思っている。
そこにあるのは、自分の取り巻きを自分のエリアに引き込もうという、強引な精神。
「聞いて!」が口癖の女の子と、さほど変わらない気がする。
嫌われる女の子にランキングしているアレだよ。
そりゃ嫌だよね、なにかあるとすぐ、「見て!」「聞いて!」。
うんざりするよー。
他人を尊重せずに、自己を主張するんだから、やっぱり自分勝手な人と言えるんだろうな。

あとは、これまた女にありがちな話だが、返答のしようもないことを、訊いてくる・・・。
「北朝鮮のミサイルは、どうやってつくってるんやろうな?」
(って、わたしは池上彰じゃないんだから、)知らんがな!
「ここの堤防、なんでこっちからこっちは、草刈れへんのやろなあ?」
(そんなん、市の都合やろ、)知らんがな!
「この俳優さん、もうだいぶ禿げてきて、なんでカツラにせえへんねんやろうな?」
そんなん、知らんがな!!!

結局、彼女がわたしに言ってほしいのは、「うん、そうやねー。なんでやろう?」なのかもしれない。
女同士の会話では、「うーん、そうやね、なんでやろー」「そうやね、わかれへんねー」と、お互いわからないことを確認しつつ、うんうんうなづき合って、会話成立になるのかもしれないが、わたしはそういうのが苦手で、ちっともコミュニケーションしている気になれない。

そんな母の会話の仕方にイライラしてくると、わたしは黙るようにしている。
反応すると、余計に症状? がひどくなるからだ。
優しくない、って思われるかもしれないが、このストレス感はやばい。

正直、こんな状態が何年も続いたら、キツイんじゃないかなあと思う。
「ゴミの話ばかりするのはやめて」は言ったんだけれど、相変わらず「ほら、ここ・・・」と言いかけている。
他人の家を勝手にのぞいて、「人住んでんのかな?」とわたしに意見を求めるのも困る。
せめてもっと、口数が減ると楽なんだけどな・・・。
なんか世の、おしゃべりな妻を持つお父さんみたいだな。
なんとなく、そういう人の気持ちがわかるわ。

-

末期ガンの父の帰省

yama3

昨日、夕食後に父が消えてから、母が聞いて、というように言った。
「4月にお父さんと田舎に帰るの、兄弟の人たちが、予定が合わないって・・・」
「え? 4月初旬は駄目ってこと?」
「いろいろあって、5月にしようって。去年もみんなで会ってるからって・・・」
「5月でもえーやん」
「そうやな・・・」

母の声は、怒っているのか悲しんでいるのか、よくわからなかった。
4月の帰省目的は、末期ガンの父のために、兄弟みんなで会おうというものだった。
しかし皆さん、いい歳のおじいさんなのに、予定が合わないってどういうことよ。
寒いからっていうのが、理由なんだろうな。
もしかしたら母は、「もう時間がないのがわかってるのに、こんなに軽くあしらうなんて・・・」と、悲しんでいたのかもしれない。

母が4月初旬にこだわるのは、新しい治療を始めるとしたら、4月中旬になるからである。
そのあとは、どんな副作用が出るかわからないし、副作用どころか、体調に異変が起きるかもしれない。
母はそのへんを考えて、あれこれ手を尽くしているのだが、兄弟ともに肝心の本人も、「兄弟に会わなくてもいい」と言うんだから、どうしようもない。
わたしはもう、好きにさせたら・・・、と思うけれど、母は家族のことを、自分の手足みたいに考えているから、最後まであきらめないだろう。
なんというか、根性があるんだよなー・・・。
一家の大黒柱は、うちの場合は父親じゃなくて、事実上、彼女なのよ。

治療の方は、本人は嫌がっているけれど、元彼Sちゃんに事情を聞くと、やはり抗ガン剤治療は受けておいた方がいいらしい。
「受けないと、副作用くらい我慢すればよかったって、後悔することになるかも」と、Sちゃんは怖いことを言った。
ほんとかな。Sちゃんの奥さんが亡くなったのは、何十年も前だから、古い情報かもしれないな。
だけど、もしほんとうだったら、いまの「手足が痺れる」なんかの副作用で、治療をやめようとするのは、早まっているよと言いたい。
あの人、緩和ケアに入ったら、安らぎ空間が来ると思っているから、そこだけは違うよと何回か正したのだが、全然受け入れようとしない。
嫌なことにならなければいいけどなあ・・・。
人が痛がっているのなんか、見たくないよ。

それにしても、あんなに田舎、田舎、って繰り返していた人が、なんでここに来て、「行かなくてもいい」になるのかな。
今日、昼ごはんを食べていると、父は「東京に行きたい」と言い出した。
「皇居を見たい」と言うので、母が「見たことあるでしょ」と返すと、ちょっと怒って「もう、動けんのや」と言った。
うーん・・・。もしかして、大分まで行くのが、すでにしんどいのかな?
考えたら、90台のおじいちゃんおばあちゃんが一同に集まって、お別れ会なんてしないよね。
父と兄弟たち、じつはもう解散しているのかな?
なんか、どっかのバンドかって感じだけど。

-

しょーもない議論

kenka

昨日は、元彼Sちゃんが早々に連絡してきたので、お父さんのことを話したいんだろうなと思った。
しかし、こっちのお父さんも、まったく同じ状況にあるからな・・・。
一方的に、話を聞いてあげるということにはなるまい。

「父親の診察に行ってきたよ。肝臓に8センチのガンだって。正月を迎えられたら、奇跡だって」
「そうかー。いきなりなんだねー」
「最期は、ガンが破裂して即死か、肝硬変みたいな症状が出るかだって」
「まー、人は誰でも死ぬし、まったくの障害なしで死ぬわけじゃないからね」
「そうだけど。明日、妹たちが来て、本人とか母親に告知するかどうか決めるの。俺は、このまま放っておくのがいいと思うけどね」
「そうだね、その方が幸せかもしれないね。いま、元気に畑仕事しているんならね」

そこらへんで、わたしはうちの父のことも話しておいた。
「うちの父もね、今日ガン検診受けたんだけど、よくなくてね。本人がもう治療しないって言ってるから、そうなると来月にでも悪くなるらしいよ」
「んー。治療を決めるのは本人だから」
「でもねえ、抗ガン剤を怖がりすぎやねん。いま元気やねんから、やってみたらいいのに」

それから話は、またSちゃんのお父さんに戻った。
予想どおりだな・・・。
この人は傲慢だから、自分の思っていることだけをしゃべりたいのだ。
それにしても、なんでこんなに感傷的になっているんだ?
87歳の男親が死ぬって、そんなにショックなんだろうか。
それでいくと、うちの父は78歳なんだが・・・。
感受性の違いか?

結局、わたしが「ふーん」と話を聞く側になって、話がループしていたとき、ふと未来予想図がテーマになった。
そこで、わたしはやっちまった感で、人工知能を持ち出してしまった。
この人に、あるキーワードを与えたら、まえと同じことを、必ず最後まで延々と続けるから、これから聞かされ地獄になるのが、ハッキリとわかった。

「人工知能は、人間の生活を脅かすようなことはないよ。人間は、1次・2次産業は関わらないにしても、3次産業にはどうしても必要になってくるでしょ。人口増やしてるのは、後進国だよ」
「だからいま、先進国の話してるねん。いくら3次産業で必要だとしても、よそであぶれた人が、どうしても出てくるやろ」
「工場ではいまでも、人間がいないでしょ。いるのは監視の人間だけ」
「(わかってる!)それ、ロボットの話やろ! 人工知能はまったく別のものやんか!」
「スーパーでも、自動会計になってるでしょ。あれも、人が見てるだけでしょ」
「(だからそれも、ロボットやんか!)人工知能も、少しの技術者が見てるだけでしょ」
「そうじゃないよ。たくさんの人が見てる」
「??? 」
「どんな職種がなくなると思ってんの?」
「事務職、建築関係、窓口、レジ、・・・」
「それを人工知能が奪うことはないよ。窓口だって、人間がするし。人工知能のある世界は、明るいよ」
「Sちゃん、どこから情報得てんの?」
「・・・インテル」
「わたしはオックスフォード発。結局、玄人同士でも意見が分かれてるってことやね」
「オックスフォードなんか」
「東京大学よりましやろ!」

最後は、子どもの喧嘩であった。
こんなこと、素人同士で議論すること自体、間違っているのに。
でもわたしは、いつものようにSちゃんが持論を展開するのを、「ふーん」と聞いているのが、しんどかったのだ。
父親のガンの件だって、自分の方ばっかり話をするし・・・。
Sちゃんとスカイプしたあと、わたしは「インテルが何言ってんだよ」と思って、調べてみた。
それで、あっ! と自分のミスに気がついた。
インテルって、デジタルの会社そのものじゃん・・・。
当たり前だけど、人工知能を悪く言うはずがない。
ミスった! ここを突くんだった。
わたしは地団駄を踏んだが、あとの祭りであった。

母親に話したら(なんでも話す)、「なんか難しいわ・・・」と不安な顔をされた。
昔からだけど、その表情には、「キムズカシイ・訳がわからない・心配」あたりの意味が含まれている。
小さい頃、よく双子の妹との話がディベートになって、二人で激しくカードの叩き出し合いをしていたのだが(負けたら泣く)、母親にはよくわかっていなかったようだ。
でも二人のあいだでは、トランプの大富豪みたいなルールが、ちゃんとあったんだよね。
Sちゃんは、ルールを知ろうという気もないし、ただただ、自分の言っていることが正しいって、主張しているだけ。
つまりSちゃんと議論するっていうことは、負けてもいないのに、こっちが「そうですか」って言わなきゃいけないってことなのよ。

これからも、うちの父親よりも、自分の父親優先で、ガンの話をされるのかなーと、ぼんやり予想する。
あの様子だと、今後さらにピリピリしてくるだろうから、言葉を間違えられないな。
とにかく、しょーもない議論だけは絶対避けなければ。
桜とか孫とか、そっち系だな。
なんか、テーブルマナーみたいで、肩肘が張るな・・・。

-

父のガン治療のゆくえ

saibou_gan

今日は、元彼Sちゃんのお父さんだけでなく、うちの父も、ガン検診に行ってきたのである。
結果はおもわしくなく、母によれば「新しい治療を始めないと、あと1ケ月くらいで異変が起こるかもしれない」とのことだった。

新しい治療って、鎖骨のへんを切開して、抗ガン剤を直接静脈に流し込むみたいなものらしいけど、これに父が異を唱えるのである。
「抗ガン剤は苦しいから、もうせん」
「苦しいって、手足が痺れるだけやろ? 先生もこのままじゃ勿体ないって言うてたやん」
「おまえらにはわからん。抗ガン剤は、俺はもうせん」

この人は異常に抗ガン剤を怖がる傾向があって、そもそも転移したのは、手術後の抗ガン剤を飲まなかったからだと思うくらいだ。
新しい治療で、どんな副作用が出るか、やってみないとわからないのに・・・。
わたしと母は、束になって、父にマシンガン攻撃を始めた。

「新しい治療で、どんな副作用が出るか、やってみなわかれへんやんか! 1回やってあかんかったら、やめたらいいやん!」
「4月半ばに田舎に帰るんやろ? そのときまで治療を伸ばしてたら、遅いやろ!」
「28日に運転免許の試験って何?! 俺は早く死ぬとか言うけど、(書き替えの)7月まで生きてる前提やんか! そのまえに死んだら、後悔するやろ?!」
「わたしらの世話になるとかなんとか、気にせんでえーねん!! そんなん、いずれなんとかなるねん!!」
「変な情報信じて、間違った判断してるねん! 子どもが間違った選択してて、親があかんってわかってても、子どもが言うから仕方ないって、そんな感じや!!」

その合間に、父はもごもごと同じことを繰り返していた。
聞いたところによると、「治療はしない」「4月に田舎に帰れなくてもいい」「長患いはしたくない」「1ケ月で死んでもいい」って感じだった。

む・・・。
運転免許を書き替える気でいたから、あと半年は生きられると思っていたはずなんだが・・・。
そんな人が、「あと1ケ月でもいい」って、どういうことなんだろう。
どうやら父は、苦しいのを飛ばして、早く緩和ケアを受けたいと考えているようだが、緩和ケアに至るまでの時間を短くしたら、そのぶん苦しみが減るわけではない気がするが。
新しい治療で、しんどい副作用が出なければ、7月には免許の更新をして、車の運転もできるって話じゃないのかな。

結局、父のあたまの大半は、「痛い苦しいは嫌だ!!」ってところなんだろうな。
わたしも同じ立場に立ったら、そう言うし。
でもまだ、食欲旺盛だし、グーグー寝ているし、相撲で大声上げているし、・・・医者が言うように、勿体ないんだよね。
新しい治療をしなければ、父の恐れている「痛い苦しい」が、早くにやってくるだけなんじゃないかな。

母と散歩しながら、父のことを話したが、彼女はまだ、新しい治療を始めることをあきらめていなかった。
わたしはもう、今日の言い合いで、すっかり疲れたけどね。
親とはいえ、人の命はこっちの口に出せない。
まー今後は、いままで通り、ふつうに暮らすって感じかな。

-

人類の未来

kyuoryu

元彼Sちゃんが、土曜日に会う約束だったのを、キャンセルにしてくれと言ってきた。
「父親が、ガンの検査を受けたんだけど、医者がちょっと話したいことがあるからって」
「えー、そうなの?」
「うん、たぶんよくないんだよ。本人に言わないんだからね」
「そういうものなんだ。いくつだっけ?」
「87」
「87! 長生きやなー」

実際、Sちゃん一族には、訳がわからんほど、大量の親戚がいて、みんな長生きしているみたいだ。
そしてまた、Sちゃんにもすでに8人もの孫がいて、その繁殖力はすさまじい。
わたしはSちゃん一族を見ていると、強い個体だ・・・と思う。
生物の世界って、みんなそうだもんね。
強い子孫を残すのが使命だから、強い個体が生き残れるようにできているんだよ。

それでいくと、わたしは弱い個体で、結婚もしなかったし、なんだか理にかなっているなーと思う。
いま近所にいる叔父二人も独身だし、わたしが死んだら、綺麗に子孫はいなくなる。
人類の繁栄に役立たない人間か。
うーん。わかりやすいな・・・。

そんなことを考えていたら、電器屋の広告を見ていた母が、「最近の電器はわからんわ。ケータイからみるみるうちに進化したやろ。その前までは、これほどのスピードじゃなかったのに、おかしいわ」とこぼした。
わたしはそれを聞いて、あれ? とひらめいた。
なんかそれ、世界人口の増加率と似ていない?
世界人口増加の爆発的スピードと、インターネット・AI(人工知能)進化のスピード、どっちも指数関数的だ。
よくない感じがする・・・。

先進国にAIが乱入してくると、AIに負けた弱い個体は、子孫を残さず死んでいく。
強い個体は生き残れるが、先進国は限界まで人口を減らし、人類が築き上げた文化や芸術・科学は、ほんの一握りの人のものになる。
一方、アフリカなど世界の貧困層で、人口はこれまで以上に爆発的に増えていく。
やがて世界はわずかな富裕層と大多数の貧困層になり、貧困層のあいだで疫病や食糧難などが発生し、人類は大幅に数を減らす。
その合間を縫って、AIはますます進化し、人類は勝つことができない存在になる。

ここまでは、わりと真面目に考えていたのだが、その先がわからなくなったわたしは、ふーっとこころでため息をつきながら、「結局、人類は18世紀の蒸気機関車に始まって、21世紀のAIで終わるのよ。あのときが、人類の終わりの始まりだったのよ・・・」とファンタジーにふけった。
いや、最初から最後まで、ファンタジーか。
でも思うんだけど、人間とロボットの違いはファジーだから、なんとなく嫌な感じ、とかいうものは、これから大事にしなきゃいけないんじゃないかな。

Sちゃんのお父さんは、87歳にして、畑仕事をしていたが、最近は寝ていることも多かったらしい。
どこが痛いとか苦しいとか、いまのところはなさそうだ。
たとえ、ガンが進行していたとしても、調子が悪いからそのまま寝ているだけ、みたいな人じゃないかと想像している。
この一族は、妙に肝が座っていて、うちの父みたいに、病気でギャーギャー騒いだりしない。
やっぱり強いんだろうな。
いまの日本は、「子どもは金持ちの特権」と言われているが、由緒正しいSちゃん一族も頑張って生き延びてくれって感じ。