キャプテンとの再会

昨日も書いたとおり、今日は通院日なので、いつもの精神科へ行っていた。
いつものように診察を終えて、薬の順番待ちのあいだに、髪を切りに行って、
「おっ、まあまあの出来やん」
なんて思ってヘアケア剤を買って、薬屋に戻っていったときである。
「×××(元同居人”キャプテン”の名前)さんがおる」
と運転中の父がつぶやく。
はじめはなんのことかわからなくて、黙っていたのだが、そのうち母が、
「×××さんが前、歩いて来てるで」
と言うので、そこで初めて、わたしは車内から外を覗いて、そこにキャプテンが一人で歩いている姿を見出したのだった。
キャプテンは、しんどそうに歩いていた。
わたしは取り敢えず、車から降りて彼に手を振った。
キャプテンの反応はない。
近づいて来てようやく、会話が始まった。
「最近、調子どう?」
「うん、ぼくな、来月に退院が決まってん」
「そう、おめでとー…一応」
「そっちはどう?」
「うーん…寝てばっかりやね」
キャプテンは穏やかに話していたが、顔のアトピーはまだひどいし、話し方がしんどそうだし、円満退院というのでもなさそうだった。
療養病棟は住む場所ではないので、ふつうはだいたい長くても半年間くらいまでしかいられないのだ。
そのあとは、自宅で療養ということになる。
「それにしても、すごい偶然やね」
とわたしが言うと、キャプテンは、
「まさか、金曜に診察に来てると思えへんかったから…。いつも月曜やったやろ?」
などと弁解がましく言うのだった。
彼は、わたしと会うのを故意に避けているのだ。…
もう、徹底的にわたしのことを封鎖するつもりなのだなと悟ったわたしは、やりきれない気持ちで、暑い中、言葉を失って立ちつくした。
「薬、取りに行くんでしょ?」とキャプテンがわたしを促す。
「うん」
「じゃ、ぼく、いまから○○○○(近所の大型スーパー)に行ってくるから」
そして、顔を見合わせて別れた。
これが、わたしが最後に見たキャプテンの姿になるのだろうか。
開かれなかった扉

元婚約者キャプテンと出会うまえは、考えもしなかったことだが、キャプテンと別れてから、わたしは無意識に結婚している人のことが気になるようになった。
CMなんかを見ていても、30代以上の男女のモデルケースは、結婚している人々だ。
最近よくやっている、高齢者向けの入院保険でも、ご夫婦一緒にとうたっている。
(世の中はやはり、夫婦で1単位なんだなー…)
とわたしはううむと考え込んだ。
だとすると、既に40代のわたしは、これから世間のアウトサイダーになっていくのだろう。
いや、そんなことは、もともと一生結婚する気のなかったわたしには、わかっていたはずなのだ。
けれど、いったんキャプテンのプロポーズを受けて、(この人と一生連れ添うのだなあ)と思ってしまった脳みそは、なかなかそれを受け付けなくなってしまった。
一つの扉を目指し、それに向かってじりじりとレールの上の電車を引っ張っていたわたしに、
「ほら、ここに、こんな扉があるよ。こっちに来ない?」
と誘ってくれたのが、キャプテンである。
その言葉を受けて、わたしは電車のポイントを切り替え、そっちの扉に向かい、その楽園の中にまさに入ろうとした瞬間、扉はバタンと無残にも閉じられてしまった。
仕方なくわたしは、また電車のポイント位置まで戻って、再びいつもの扉に向かって前進しようとしたが、もう、あの場所に別の扉があるのを知ってしまったのである。
わたしの高校時代からの親友3人は全員独身だが、彼女らは、まあ世間で言うところの勝ち組である。
しかし、わたしにはなにもない。
そして、永遠に辿り着かないかも知れない扉を目指して、これからまた、重い電車を引っ張っていかなければならないのだ。
扉の向こうが光にあふれているのかどうかもわからないのに。
それで、わたしはしばしば、泣きそうになったり、無気力になったり、自暴自棄になったりするのだ。
恋愛シュミレーション

昨日は一日中、《ときめきメモリアル・ガールズサイド》をやっていた。
じつは、《ガールズサイド2nd》も持っているのである。
カッコいい男の子はみんな落としたので、いまは好みじゃない男を口説いていたが、もうそれがメンドクサイ!
なんで、こんなヤツ、わたしがデートに誘わなければならないのよ…と、だんだんやっているうちに虚しくなってきた。
それが、恋愛シュミレーションゲームの悲しい性でもある。
やりすぎると、「あーもう、自分はデートマシンじゃない!」と思えてくるところである。
しかし、癖になると恐ろしいもので、わたしは今日は《ガールズサイド2nd》をやってみようと思っている。
《2nd》の方には、主役級をはじめ、まだゾロゾロ落としたい(というか反応が見たいんだな)男子がいるので、しばらくは張りつけになるかも知れない。
それにしても、リアルで外にほとんど出ず、こんなことをしている自分って、なんだかとっても悲しい。
年齢的にも、もうとっくに恋愛期は過ぎている。
誰からもちやほやされる花盛りの時代は、終わったのだ。
そんで、年とってからゲームで恋愛シュミレーション。
情けなさで、思わずため息が出てしまう。
若い頃は、40代の自分なんて見えなかった。
たぶん、いろんな恋をしながら、仕事に励んでいるんだろうと思っていた。
まさか、病気なんかで働けなくなって、いい年して平日からゲームすることになろうとは思いも寄らなかった。
やれるもんなら、人生やり直したい。
ほんとうに。
キャプテンとの最後

今日、元同居人=婚約者キャプテンが引っ越していった。
うちはモノが多いので、あたりががらんとしたりなどしない。
久しぶりにみたキャプテンは、ちょっと性格が丸くなっていた。
病状もまあまあだという。
それはよかったね…と思った瞬間、わたしはギクリとした。
キャプテンの左手くすり指に、まだマリッジリングが光っている!
「これはもう、一生外さない」
彼は付き合っていたとき、そう言っていたが、まさか、まだつけているとは思わなかった。
「もう自分は、一生一人で生きていく」
別れるとき、彼はそんなふうにも言っていたが、ほんとうにこれから一生、彼女をつくらないつもりだろうか。
もともと公務員的堅苦しさのある人だから、将来はともかく、少なくともいまは本気かも知れない。
わたしはとっさに、自分の左指の付け根を、橈骨神経麻痺の治癒のためにつけていたサポーターで隠した。
「わたしも外さないよ」と言っていた自分が、薄っぺらなものに感じて、恥じた。
いま、わたしのマリッジリングは、台座にはめられて暗闇のなかにいる。
なんだか、リングがかわいそうになってきた。
せめて、右指にはめようかなどと考える。
引越しが終わると、キャプテンは、電話で「いままでありがとう」と言ってきた。
「決して、《こんなやつ!》って憎しんで別れたわけじゃないから、よかったです」
「そうね」
「二人とも同時に体調を崩したのが悪かったわけですから」
「そうね。…」
こうして、あらゆることを運命のせいにして、わたしたちは完全にお別れをした。
いつだって、別れは辛い。
キャプテンとバッティング

昨日は最低だった。
わたしのマンションの光回線設置と、元同居人=婚約者キャプテンの引っ越しの見積りが重なってしまったのだ。
双方ほとんど無言…というか、わたし、睨まれている気がするんですけど?
なんで自分の家でわたしは、遠慮しなければならないのだ。
おまけに、CD・DVDの類は、棚とケースが総入れ替えになるので、わたしが自分の分をケースから出しておいた(大量)のに、それを見てなんの反応もねえ。
そして、こっちサイドに置いてあった、プレゼントのふかふか枕を、無言で持っていきやがった!
これってどうなの?
一度「プレゼントする」と言ったものは、もうその人のもんじゃないの?
わたしはこのままだと、マリッジリングも返してくれと言われるんじゃないかと思った。
刻印がなければ、実際言われていたんじゃないかって気がする。
キャプテンとバッティングする度に、相手の嫌なところが見えてくるので、もう精神衛生上、悪いことこの上ない。
ちなみに、やつの引っ越し日は29日だそうだ。
早く出ていって欲しい。
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キャプテンという人・2

また、元同居人=婚約者キャプテンについて、新たな情報が出てきた。
ソースは父親である。
「じつは、Fさん(キャプテンのこと)、1月ごろからもう、うちの母親に電話してきて、《出て行きたい》って言うとってんで」
えーーー?!とわたしは、まさかの話に驚く。
「なんでよ?」と聞かずにいられない。
「ゆみが怖いから、言い出されへんかったみたいやで。母親も途中から本人同士で話してくださいって言うたのに、何回もかかってくるから、最後はもう切れとったな」
なんてことだろう。
わたしの前では、何一つ不平不満を言わずにニコニコしていたキャプテンが、裏でそんなことを言っていたなんて。
わたしはもやもやとした気分を抑えきれず、キャプテンに連絡を取った。
「初めて聞いたわ、こんなこと。本人ぬきでなんやねん。しまいには、母親も怒ってたのは、もう知ってるよな」
「《なにかあったら、また連絡してくださいね》っていう、お母さんの言葉を信じたわたしが馬鹿だったんですね」(いまはキャプテンはタメ口でわたしと話そうとしない。)
「第三者をはさんで言うから、話がややこしなるんやんか。なんで、わたしに直接言えへんねん!」
「二人の関係が壊れるのが、怖かったんです」
「怖いって、なんか問題があったら、なんでも二人で解決していくもんやろー?二人のことやのに、おかしいやんか。そんなことも口に出されへんようじゃ、結婚どころの話じゃないよな!」
あとは、キャプテンは無言だった。
最低だ………。
わたしは、数ヶ月間ものあいだ、ずっと裏切り続けられていた自分に、愕然とした。
まえに、キャプテンという人の特徴を書いたが、もう一つ、付け足しておこう。
彼は、嘘つきだ。
キャプテンという人

元婚約者キャプテンから電話がかかってきた。
入院先の精神科からである。
用件は、「5月中に出て行くって言うたけど、新しい部屋がなかなか見つからなくて…」
というものだった。
なんだ。5月中には絶対、絶対、を繰り返していたくせに、またか。
この人の「絶対」は、まったくあてにならない。
的中率3%くらいだ。
しかし、考えてみれば、そりゃそうだろう、あんなにひどいアトピーと鬱病を抱えて、引越しなんか簡単に出来るわけがないのだ。
なのに、彼は、よぼよぼの身体でわたしに言った、「別れよう」と。
別れるのはいいけど、子どものように可愛がっていた愛車を売って、入院加療中の身で部屋探しに奔走しなきゃいけないということが、彼の頭になかったのか?
なんて、準備不周到なんだ。
これでは、思いつきで別れを言ったか、わたしが「引越しはいつでもいいよ」と言ってくれるのを期待していたとしか思えない。
こっちだって、失恋のダメージで、激鬱に何日間もしんどい思いをしているのだ。
彼の荷物が、いつまでも家にあるのは、わたしをとても憂鬱な気分にさせる。
これらはたぶん、5月中に引き揚げられることはないのだろう…。
キャプテンという人を、少し離れた目で見ると、浪費家で、自信家で、そのくせ傷つきやすく、確定しないことに「絶対」と、口上手く人を丸め込む人間だった。
母の陰謀

母が、元恋人Sと、いまだに連絡を取り合っていることを知って、驚き傷ついた。
いったい、なにをコソコソ話しているというんだ。
もともと、母は、元同居人キャプテンのことを、気に入っていなかった。
キャプテンとの会話のなかで、母の、表の態度と、裏のそれとが、違うさまを見てきた。
裏での、「なによ、あの人は…」みたいな言葉に、わたしも傷ついていた。
でも、そうか。
彼女は、元恋人Sとつながっていたからこそ、ああいう態度に出たのか。
キャプテンとは、おかげさまで、別れることになったが、こころの中で万歳三唱をしている母の姿がみえる。
まえにも書いたが、わたしは、この別れには、どうも母親が一枚かんでいるような気がしてならなかった。
でも、残念なことだ、母親。
わたしは、元恋人Sと復活することはない。
悔しさで、わたしのこころが歪む。
だから、わたしは、この人が嫌いなんだ。
わたしはいま、母の手助けをたくさん受けているが、彼女のくもの糸に絡められて、知らないうちに、その術中にはめられているような気がする。
キャプテンが恋しい。
でも、彼の金銭感覚を考えると、やっぱり彼とも別れざるを得ないのだ。
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金銭感覚の違い

元同居人キャプテンが、「車を売る」と言ってきた。
まあ、そうだろうな。ほかにお金がないんだから。
友人Mによると、「インテグラRなら200万円では売れるでしょ」とのことだった。
「でも、いまマニアの目は、みんなGTRにいってるからなあ…。買う人がいるかどうか」
「へー」
「中古屋で買い取ってくれたとして、150万円くらいかな」
どっちにせよ、そのようにレアな車は、現在年金暮らしで、退院の見通しも暗いキャプテンにとっては、分不相応な持ち物だろう。
わたしは、寂しく思ったが、もう彼に関してはあきらめた。
「この車で、あちこち行こうね」と、いつか実現するのを楽しみにしていた夢が悲しい。
一本5万もするうタイヤをはかせたばかりの、インテR。
4月上旬に必ず、保険金50万円が入ってくるからと何度も言うので、タイヤ代として20万円を家計の貯金から出したのに、いまでにそれが入っていない。
もうこれ以上、彼の金銭感覚のどこを信じろと言うのだ。
「金銭感覚だけは、一緒でないときついろうなー」
と、親友Aも言った。
わたしもその意見に大賛成である。
嫌いになって別れるわけではないが、もう、あきらめるしかないのだ。
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どこまで激鬱になるのか

左手の麻痺、入院中の同居人キャプテンの「死にたい」発言連発、チャット部屋でのトラブルなどで、激鬱に入っているわたしですが、今日は、キャプテンの「別れてくれ」発言に、また奈落の底へ突き落とされました。
もう、穴から一生這い上がれないほど、よくやってくれたものです。
わたしは今日、キャプテンのお見舞いに行ったわけで、こんな唐突な話をされに、1時間もかけて入院先の病院に行ったんじゃありません。
「もう、自分はゆみを支えられない」というのが、理由だそうです。
でも、別れると言ったって、彼には、引越しする体力・気力も、財力もないはずです。
それに、ただでさえ激鬱のわたしに、なぜこのタイミングなんでしょうか。
「じゃあ、荷物を1・2ヶ月以内に引き揚げてください」と、わたしは無気力にお願いしました。
すると、「引越し先が決まらなかったらどうしたらいいですか?」と、彼は尋ねてきました。
そんなもん、知るかよ!! わたしに聞くな!!
先日も「別れよう」発言があった彼ですが、そのときは「あれは本心じゃなかった」とあとで言ってきました。
今回も「本心じゃなかった」と言い出すかもしれませんが、日に日に言うことが変わるので、こちらが振り回されます。
わたしも疲れてどん底です。
とう骨神経麻痺になった経緯は、また今度書きます。
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