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LIFE,LOVE&PAIN(旧)

タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。(新URL:○ttp://lifelovepain02.blog.fc2.com/)
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OD(薬の大量摂取)騒動

kusuri

凝りもせず、またチャットをしていたのである。
ほんの、少しで済ませるつもりだった。
しかし、そうはいなかくなったのである。

精神科チャットルームの常連には、あるアメリカ人の女性Pさんがいた。
彼女は、日本人男性と結婚したものの、日本に馴染みきれず、子どもたちがアメリカへ帰ってしまったことで、うつ病になってしまったようだ。
元キャリアウーマンでもあり、いまでもアメリカへ帰れば仕事がある、帰りたい、…と嘆いていた。

そんな背景があってのことである。
彼女がどうやら家族ぐるみでかわいがっていた、とても優秀ないい青年が事故死したというのだ。
しかもPは、うつ病があるため、表に出ることができず、葬式も夫に行ってもらうことになった。

チャットルームでいつも元気そうなログを上げている彼女が、この日はガッカリマークを出すのみだ。
どうしたの? と尋ねたら、以上のような返事が返っていた。
わたしは、ちょっと心配していた。すると、彼女が突然、「いまビールを一緒にOD(薬の大量摂取)した」というログを上げたのである。

「やってしまったかあああ!」とわたしは予感が的中したことに、ひどく動揺した。
Pは過去にも一度、本気で死のうとして400錠もの薬を飲んで、奇跡的に助かった人である。
しかも、彼女のビールの飲み方のペースのすさまじさを、わたしは知っていた。
「薬もビールもまだある」という彼女に、わたしはますます動揺して、ついにボイスで話しかけることにしたのである(Pは難しい漢字などは読めない)。

「P、聞こえる? 吐けないの?」「P、これ以上やっちゃ駄目だよ」
応答はなかった。チャットルームが騒然となった。なぜなら、もっとすごいことを言い出したからである。
「いま、ここに40錠ある…。これを飲みたい。わたしは死にたい。夫に電話は繋がらない。ビールは少ないけれど、泡盛だってある」

途中から英語ログになったので、もう平常心を失っているとわたしは思った。
わたしは、めちゃくそつたない英語で、「P、駄目だよ!」「水は飲めないの?」「あなたは息子と夫がいる、死ぬべきじゃないよ」等、あわあわ状態で話しかけたが、音声を切ってあるのか、一切それに対する応答がない…、というか途中から誰も言う言葉も目に入っていないみたいだった。

そして、ついに残り40錠を飲んでしまったのである。
Oh,my God! わたしには、ODで同じく死にかけた知り合いがいる。
もう、ほんとうにやめて欲しい。それだけだった。

その後、まったく彼女がログを上げなくなったので、もうわたしの心配は頂点に達した。
人々はほとんどが、みな「なんとかなるでしょ」のモードに入った。
絶対なんとかなっていないって。
愛する人間が死んで、そうでなくても毎日が苦しくて、ネット用語羅列のわからない日本語ログのチャットルームに来るしかなかったのだ。
孤独に違いない。
いても立ってもいられず、わたしは今度はスカイプで、彼女に呼びかけた。
人々は…、やっぱり事なかれ主義だった。
ふだんのおしゃべりを始めていた。
冷たい。いつもは、P、Pって仲よくしているくせに。
こんなものなのか。わたしは大衆ってやつが嫌いになりそうだ。

スカイプでは、彼女をつかまえることが出来た。
「あと30分したら、姉が来る」というので、「じゃあ、30分お話しよう」と持ちかけ、死んだ青年のことなんかを聞いた。
ジャスト30分後、彼女の姉が到着した。
これで安心だ。
わたしの心は、それでもぐらぐらと揺れていた。

動揺が激しかったので、わたしはすぐチャットルームを出て、一人ビールを飲み、早寝した。
だが、覚醒、覚醒、覚醒。

チャットルームにはたまに、「いまから手首を切ります」なんてやつが時々来るが、そんなのはわたしは「お好きにどーぞ」と言う。
しかし、今回は、その背景を知っていただけに、苦しかった。

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