なつかしの彼 #2 - LIFE,LOVE&PAIN

LIFE,LOVE&PAIN

タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。
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なつかしの彼 #2

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昨日に引き続き、元彼のうちでも、わたしのこころを痛くした二人のうち、もう一人のEさんのことを書いてみようと思う。
なお、昨日 : KJ の記事はコチラ → 「いとしい彼のこと」

Eさんとは、初めて会ったときから、4回付き合い別れている。
そのうちでも、2回目は素晴らし かったから、そのときのことを書いてみる。

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高校のとき、好きでもなんでもなく付き合わされて、3ヶ月で別れた彼だが、3年後会ってみると、見違えるほど身体が大きくなっていた。
家で妹とキーボードを見ながら話す彼の背中は、抱きつきたいほど広かった。
あとで知ったことだが、彼は高校時代からわたしのことが忘れられずに、浪人・大学2年まで誰とも付き合わなかったという。
まもなく、わたしたちは2回目のカップルとなった。

彼はとてもお洒落にこだわる人で、大変な音楽好きだった。
当時は、ブラックミュージックにはまっていて、わたしもそれが大好きになった。
ある日、「ブラックボックス」というアーティストのライブで、口パクをやられたのに怒って、彼はひょいとカウンターに積み上げられていたバーボンを盗んだ。
わたしもとっさにそれに習い、ふたりで車の中で「こんなの盗っても、まだもとが取れない」と笑い合った。

ふたりのお気に入りの場所は、早春の海。
「真夏の暑いときは駄目。少し肌寒くて、人もまばらな海を見るのが最高」というのがお互いの考えだった。
いつもの通り、海へ出かけようとしたら、上から下までそっくりの恰好をしていて笑った。
寒いクセに二人とも短パンに靴下。ポロシャツに軽いジャケットを羽織って、色まで一緒。
サングラスで恰好つけているところまで同じだった。
そうして並んで海を見ていると、ふと彼がカメラを取り出し、足元に置いて、ふたりで記念撮影をした。

のちに、彼が就職して東京に研修に行ったときに、わたしはその写真を持ってついていき、ホテルの家具の上に飾っていた。
そんなところは、彼が時折ちょっぴり見せるセンスに影響されたものだった。
彼はクリスマスで花束をプレゼントするとき、ホテルの部屋に飾ってから、そのままにして帰るのだった。
「枯れた花とともに翌日歩くのは、無粋」という理由だった。
わたしはいちいち、彼の美意識を見るたび尊敬し、そしてますます好きになった。

あのときの写真、いまでも持っている。
なつかしい彼、Eさん。
でも、あんなことが起こるなら、やめておけばよかった。

あるとき、わたしたちは思いつきで、友人たちを招いてパーティをしようと企画した。
わたしは大学時代の女友達を誘った。そして、彼女についてきたのが、A子さんだった。
A子さんはいままで誰とも付き合ったことがないと言った。
それは、バージンであることを宣言していた。
彼が、どの時点で彼女に目を奪われたのか知らない。
ただ、二次会で「帰る」と言った彼女に、いち早くEさんが「俺が送るわ」と席を立った。

それから数日も経たない頃、些細なことで、わたしたちは喧嘩して、謎のように別れた。
いつもと変わらないただの喧嘩だったはずが、なぜか山火事みたいに大きくなったのだ。
その2週間後、あのパーティに誘った大学時代の友人から、「Eさん、A子と付き合い始めてるよ? いいの?」と忠告された。
わたしは、ちょっとびっくりしたが、不思議となんとも思わなかった。
そのときは相当彼にあたまに来ていたので、ほんとうにどうでもよかった。

いまから振り返ると、新しいもの好きな彼が、目の前にいる美しいバージンを見逃すはずがなかった。
おそらく彼は、彼女を送っていく道のりで、電話番号を聞き出していたはずだ。
別れるまえにすでに準備していた彼に、わたしは舌を巻くしかなかった。
あんなに好き合って、明るい日々を過ごしたのにね。
すぐにほかの誰かと一緒に歩けるなんてね。

いまでも思い出すと、胸がかすかに痛む。
胸の奥にまばゆい陽射しと海が焼きついている。

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