鬼の母 - LIFE,LOVE&PAIN(旧)

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タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。(新URL:○ttp://lifelovepain02.blog.fc2.com/)
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鬼の母

kazoku

昨夜、恋人Sちゃんと話していて、びっくりしたことがあった。
一般家庭で、子どもに対してやっていることである。

S「通信簿をもらって帰る日は、ケーキを買って帰ってあげてたよ」
私「なにそれー!」
「ふつう、どこの家でもやってることでしょ」
「はぁ?? なにそれ。マジで?」
「やってあげてるでしょ」
「なにそれ?? 何%の家がそんなことしてんの?」
「7割か8割か」
「嘘でしょーー!! なにそれ。じゃ、成績がオール5だったらどうなんの?」
「家族で宴会だよ、わっはっは」
「!!!!!」

ちょっと待って。
その話、ついていけないわ。
通信簿をもらって帰る日はケーキ??
オール5だったら宴会?????
そんなの、してもらったこともないよ。
それどころか、ほめてもらったことも一度もないよ。・・・

わたしは、商社で勤めていた頃にいた後輩のことを思い出した。
彼女はいつも、幸せな自分の家族の話ばかりするのだ。
「お兄ちゃんがね、お母さんがね、妹がね、・・・」
わたしは正直言って、彼女をバカにしていた。
なに職場で、自分の家の自慢話してんだよ。
――しかし、周りの反応はまったく違って、ニコニコと笑顔でその話に聞き入っているのだ。
その頃、わたしは普通の家庭は、こんなにも温かくて幸せに満ちているのだと知って、仰天した。

わたしの母は、わたしたち双子に虐待ではないが、恐怖政治をした。
小学校5・6年までのことだ。
言われたとおりのことを、きちんと守っておとなしくしているのに、なんの前触れもなく、いきなり怒鳴られる、叱られる、邪見に扱われる。
言われたとおりのことをしているのに、「口答えだけ一人前で、ひねくれてて、憎たらしい。あの子の方がよかった」と、ぜんぜんなにも出来ていない他人の女の子を指して言う。
1時間のうち、たとえ59分が幸せでも、いつ落ちて来るかわからない1分間の雷に、びくびくおびえていなければならない。
いつも、母のご機嫌を伺っている。
妹が冷蔵庫からカルピスを出そうとして失敗し、こぼしてしまう。
すると、恐怖の怒号が飛び散り、「出ていきなさい!!」と、関係のないわたしまで一緒に、玄関から放り出される。
泣きながら、開けて、開けてと扉を叩いても、返事はない。
怖い、怖い母親。鬼のような人。

大人になってから妹に、「小さい頃、母親のことをどう思ってた?」と尋ねてみたら、即答で「冷たい人」と返ってきた。
だから、わたしたちには、いまがどうであれ、母親、家庭というものが温かくて優しくて光に満ちたものとは、どうしても思えないのだ。
なので、いまでもSちゃんが言う7割から8割の家庭が、通信簿の日にはケーキを買って帰ったり、クリスマスにはこっそりとプレゼントを用意してあげた、などという話を信じることができない。
そういう家庭はあると思うが、7割8割という数字が信頼できないのだ。

同時に、そんな幸せいっぱいの家庭に対して、強い憎しみを感じる。
嫉妬じゃない、憎しみだ。
腹が立って仕方ないのだ。
Sちゃんが、自分の子どもにはこんなことをしてあげたよ、とか言うのを聞くと、ものすごく複雑な気持ちになる。

いまはどちらかというと、わたしの方が鬼で、誰の目からみても、母の方が弱弱しくて優しい天使だ。
それでも、いまだに夫婦喧嘩などで腹の立つことがあると、この母は家のなかで、わざと乱暴にバーン! と音を立てて扉を閉めたり、ドスドスと歩いてみせたりする。
すると、大人になってはるかに強いはずのわたしなのに、やっぱり「やめて、やめてよ。怖いよ」とこころのなかで縮こまってしまうのである。

繰り返すが、いまはもう、どちらかというとわたしの方が暴君で、母は優しくて思いやりのある母である。
でもわたしが物心ついた頃から、家庭をもつことは自分にはないと思っていたのには、おそらく鬼のような母が関係している。
双子の妹は結婚はしたが、子どもはつくらない前提であった。
やはり、幼心に沁みこんだなにかは、一生消えることはないのだと思う。

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