不幸せな朝食 - LIFE,LOVE&PAIN(旧)

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タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。(新URL:○ttp://lifelovepain02.blog.fc2.com/)
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不幸せな朝食


父がガンで余命宣告を受けてから、彼のたっての要望で、母とわたしは3人で一緒に朝食をとることになっている。
それまでは、3人それぞれ別々だったのである。

最初は3人一緒もいいねと思っていた。
だがだんだん、わたしはあることが気になってきた。
それは、以前はちょうどNHKの朝の連続テレビドラマが始まる頃に、食パンにキャベツの刻んだものにマヨネーズをつけてはさんで食べて、「これが美味しいのよ~」と喜んでいた母が、一切それをしなくなったことである。
その代わりに、朝の支度時に、自分の食パンに立ったままマーガリンをつけ、それをほったらかしにして、いつまでも食卓につかず、やっと食べかけたかと思うと、今度は顔にクリームを塗り始める母が登場した。
明らかにいま、食欲がないのである。

「食べへんの?」とわたしは訊いた。
「あ? ああ! 顔がカサカサになるから…」
「さっきも、立ったままマーガリンつけてたよね」
「あれは、焼いてすぐ塗らないと美味しくないから」
「食パン焼くまえにクリームつけたらええやろ。朝の支度より自分のこと、先にしたらええねん」
「今朝は、わたしが起きるのが遅かったから…」
「時間設定に無理があるんちゃうの?」
「あんた、そんなことが気になるの?」
「なるね」
「あんた、なに? わたしを責める気?」

あーまたきた、卑屈攻撃。
わたしは、「責めてるんちゃう。(この早い)時間設定に無理があるんちゃうのって言うてるねん」と繰り返したが、彼女が卑屈になると、言えば言うほど自分を責めてみせて嫌がらせを始めるので、もうやめた。

わたしがこんなことを父の前で言ってみせたのは、父が母が無理していることを気づかせるためでもあった。
もう気づいていたかも知れないが、最近ボケているので、どうだかわからん。
連続テレビドラマを見ながら、幸せそうに食パンをゆっくり食べていた母。
「わたしは、朝いつまでも寝てるのがなによりも好き」ともよく言っていた。
そんな母のささやかな幸せを奪って、家族全員、毎朝集合させる父に、わたしは少し嫌悪を感じる。
生の世界で、どでんとあぐらをかいている姿。
あーやだ。

しかしそうは言っても、夫婦でこれでいいと思っているなら、わたしは口のはさみようがない。
食事時にちゃんと席についてくれないことや、途中で顔にクリームを塗られたりするのはかなり不愉快だが、直せそうもない。
じつはわたしはこんな朝の風景は、父は満足しているかもしれないが、見ていてちっとも幸せじゃないと思っている。
父が死ぬまでこれやるのかと思うと、ひたすら「忍耐」の文字があたまに浮かぶ。

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