ビールの栓抜き係 - LIFE,LOVE&PAIN

LIFE,LOVE&PAIN

タイトルは Club Nouveau の80`sのアルバム名。人生っていろいろあるよね。
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ビールの栓抜き係

beer11

父のビールにまつわる行動に、いやーな気分を味わっているのである。

わたしが、「もうアルコール飲むのやめる」と宣言したとき、彼は「俺も病気があるから飲まない」と主張してやめた。
わたしに付き合ってくれてんのかなあ・・・、でもそういうのやめて欲しいなあ・・・、とこころのなかで思っていたのだが、動物園に行ったとき、自分だけ串カツ屋に入り、出てきた際に、真っ赤な顔で酒臭い息を吐いていたので、飲んだんだとすぐわかった。

隠れてまで飲むなら、最初から宣言しなきゃいいのに・・・。
ガンで命が限られているのに、死ぬまでわたしに付き合うつもりなのかな。
たぶん、わたしの断酒がごく一時的なもので、すぐに飲み始めると思ったから、自分も断酒を言い出したんだろうな。
優しいんだろうけど、わたしをまったく信じていないという点で、なんだか嫌な気持ちになったのである。

その後いつの間にか、彼が夕食のまえに、食卓から離れたところで、コソコソとビールの栓を開けているのに気がついた。
父の手は、抗ガン剤の副作用で痺れており、自力でビールを開けるのは無理である。
わたしが、「開けようか?」と開けると、「どーもどーも」と言って、大きなコップに全部注いで、食卓に持っていった。
当たり前だが、彼は一生の断酒なんかするつもりは、毛頭なかったのである。
大きなコップに変えた理由は、おそらく食卓にビール缶があって、「飲んでます」が明らかになるのを避けるためだろう。
でも、最終的には食卓にビールのコップがのぼるわけだから、隠れて栓を開けることに意味がないと思うんだけど。

そんな父の稚拙な工作にうんざりしながら、ビールの栓を抜いてあげていたある日、父がぼそっと「ゆみに栓を開けさせるのは、拷問やからな」と言った。
それでわたしはムカーっときて、「わたしはなー! 我慢して飲んでないんとちゃうねん! 飲まれへんねん!!」と言った。
わたしが腹が立ったのは、拷問と思っているなら、なぜそんなことをさせるのか、ということである。
目の前で飲むことが、娘にとって拷問だと考えているなら、なぜ断酒を続けない?
中途半端な決意は口にするな!
中途半端な決意といい、中途半端にコソコソ飲むことといい、ほんとうに酒飲みの片隅にも置けない人である。

話はここで終わらないのである。
わたしが、「コソコソ飲むの、やめて。テーブルまで缶持ってくるのがふつうやろ」と言ったら、次の日からテーブルまで缶を持ってくるようになった。
そこまではいいのだが、今度は反対に、態度がでかすぎるのである。
最初は、わたしが気づいたときにシュポッと開けていたのだが、最近はビール缶をコップとともに、わたしの席のまえにデンと置いてある。
自分はそっくり返って、TVを見たまま。
開けてお酌して、俺に渡せってことか・・・?

父は、2年前に一過性脳梗塞になってから、徐々に人が変わり、母も手を焼いている。
母も言っているが、考え方がちょっと幼稚だったりする。
串カツ屋で飲んだらすぐバレるとか、栓を開けるときだけコソコソしても意味がないとか、ふつうのことがわからないっぽい・・・?
ビールに関して、わたしがリアクションを起こすと、またなんか曲解されそうだな。
ちょっと嫌だけど、このまま父が死ぬまで、わたしは彼のビールの栓を開け続けることになるんだろうな。

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