鉄の無神経女
昨夜は大変だった。
Eちゃんの目の前でリストカットし彼女をどん底に陥れた《電極》が帰ってきたのだ。
聞けば、他病棟に移ったのではなく単に外泊していたんだという。
さらに悪いことには、昨日の夜勤看護師が《電極》に言われるがままハサミを渡し、混乱するEちゃんにはなにもケアしなかった大ハズレ看護師だった。
看護師としてやる気あんのか?
ともかく、そういう訳でEちゃんはパニクってしまった。
無理もない。
わたしとEちゃんは同室なので、同じく同室のMちゃんと相談して、Eちゃん救出作戦に向かった。
といっても、これといって出来ることは殆んどないのだ。
患者同士の喧嘩はやった方の負け、夜勤看護師には決定権はない、当直医は注射などの応急処置しかとらない。
わたしたちはデイルームのソファに座り、《電極》をジョークのネタにして笑うしかなかった。
《電極》は、日焼けサロンにでも行ったのか、いまどき珍しいヤマンバになって帰ってきていた。
下手なリストカットしてのうのうと帰ってくるこの鉄の無神経には勝てん…。
消灯後、Eちゃんは点滴を受けることになって、わたしはしばらく一緒に待っていたが、眠剤が効いてきて眠ってしまった。
鉄の無神経を持った迷惑女が堂々とカッポしていて、被害を受けた弱った神経の女性が余計な治療を受けている現状って、どうなんだろう。
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